てぃーちなー日記

沖縄とオーストラリアが大好きな歯医者の日記。健康ネタを中心に趣味の三線やエイサーなど のんびりと。

舌と健康との関係

私達が日常生活を送る上で、舌を意識する事

ってあるでしょうか? おそらくほんとんどの

方がそうでは無いと思います。

でも舌って凄いですよね。舌の細胞で細かな

味を判断して脳に伝える。物を食べる時には

歯で舌を噛む事がないように上手く複雑に

動く。飲み込みにも重要な働きをするし。

私達にとってかけがえの無いものです。

そんな舌ですが意識して動かすように

しないと その機能は低下していきます。

皆さんは舌の正しい位置をご存知でしょう

か?舌にも正しい位置があって、舌の先が

上の前歯のすぐ後ろの歯茎につき、上顎に

ぴったりくっついて上下の歯に全く触れてい

ない位置が本来の舌の位置であるといわれて

います。舌が本来のあるべき位置より全体的

に下降していたり、上下の歯の間あたりを押

し付けるようになっているケースがよく

見受けられます。それを舌癖と言いますが、

舌癖は出っ歯や噛み合わせの不良を引き起こ

し、体の歪みに繋がります。舌が通常の位置

より低い場合を低位舌といいますが、これは

顔の歪み、イビキ、睡眠時無呼吸症候群

歯周病や虫歯の原因になり得ると考えられて

います。それを予防するために舌回し体操を舌の機能を向上させる必要があります。

舌回し体操の効果としては、

1. 咀嚼力の向上
2. 唾液分泌の促進
3. イビキや睡眠時無呼吸症候群の改善
4. 円滑な会話
5. 誤嚥の防止
6. 安眠
7. 噛み合わせのズレを防止
8. 顔の歪みを取る
9. 首や肩こりの改善、予防
10. 頭痛予防
11. 脳の活性化

等が挙げられます。是非皆さんも日頃から舌

を意識して動かし、時間がある時に舌回し

体操を試してくださいね。体に変化が現れる

と思います。

 

舌を診る

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私が毎日の診療で必ずチェックするのが

「舌」です。東洋医学では舌診といって

舌の状態から全身の状態を判断する診察法が

ありますが、それとはまた違いもっと単純な

診察です。私がポイントとして診ているのが

① 舌の大きさ
② 舌の汚れ
③ 舌の位置
④ 舌の歪み

です。特に顎関節症や頭痛、肩こり、イビキ

などの症状がある方は③、④を重視して

チェックしています。今回は④の舌の歪みに

ついて。顎関節症や頭痛持ちの患者さんに

ベロを大きくあっかんべー👅をしてもらうと

ほとんどのケースでベロの先(舌尖部)が左右

のどちらかに歪んでいます。そしてほとんど

のケースでベロの歪みと同じ側で噛んで

います。いわゆる「噛み癖」です。右か左で

噛み癖があるというのは結局 噛み合わせに

問題があり、噛みやすい方で噛んでいるから。

そしてそれを続けていると下顎の位置がずれて

きます。

下顎のずれは顔面、頭の歪みに繋がり、それは

全身の歪みに繋がります。だから噛み

癖がある方の肩や首に凝りが生じ、ひいては

頭痛や顎関節症などの辛い症状を引き起こし

ます。そういう患者さんにまずして頂くのが

食事の時は左右両方の歯でバランスよく

噛んで頂く事、症状が強い方はマウスピース

を装着して頂く事及び 噛み合わせの調整。

舌の運動(ベロ回し)

足の指(特に第三指)をほぐす。

この全てを行なって頂きます。それにより

かなりの症状の改善と予防がはかれます。

また逆に全身の骨格の歪みが噛み合わせのずれ

を引き起こしているケースもあります。

その場合は噛み合わせの治療に加え 骨格の調整

が必要になります。骨格の調整を行わないで噛

み合わせの調整だけで終わると逆に症状が悪化

するケースもあるので注意が必要です。私自身

は整体師の資格があるので自分で調整をします

が必要に応じて信頼出来るセラピストを紹介

してもらい、歯科と連携を取りながら治療を行

う必要があります。

 

 

EBMとNBM

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EBM(Evidence base on medicine)

つまり「根拠」に基づいた医療。とは最新の

臨床研究に基づいて統計学的に有効性が証明

された治療を選択する事により、より効果的

な質の高い医療を提供する事を目的としてお

り現代医学のベースとなる考え方の1つです

。医師が様々な病気に対してガイドライン

(診療指針)に従い治療を進めていくのが

それに当たります。しかしEBMは全ての

患者さんに有効であるわけでは無く、

その有効率は60-90%で有効でない患者さん

が40-10%存在する事になり、疾患によって

EBMを適用出来ないケースもあります。

一方で、NBM(narrative based medicine)

とは「物語」に基づいた医療という考え方で

患者さんが対話を通じて語る病気になった理

由や経緯、病気について今どの様に考えてい

るかなどの「物語」から医師は病気の背景や

人間関係を理解し患者さんの抱えている問題

に対して全人的にアプローチしていこうと

する臨床手法である。患者との対話と信頼関

係を重視し、サイエンスとしての医学と

人間同士の触れ合いのギャップを埋める事が

期待される。EBM, NBMともに大切な考え方

であるが、今の医療に求められているのは

医療の基本的な考え方であるNBMの考え方

をもう一度見直す事ではないでしょうか。

医療機器や検査データに頼るあまり、検査に

異常が無ければ病気と考えないようであれば

結果として患者さんの悩みや苦しみは癒やさ

れる事はありません。

2017年を迎えて。

正月休みを終えて今日から勤務です。

昨年末は色々とあって、ある意味今まで自分が

避けて来た、いや見ようとしなかった一面と本

気で向き合った数日でした。

それに気付かせてくれた妻に心から感謝をしています。

 

昨年の大きな出来事としては私達夫婦に子ども

を授かった事です。この世にこれ以上愛おしいものは無いと言い切れる位息子が可愛いです。

 

この子が社会人として自立できるまで 責任を

持って親の務めを果たさなくてはいけない。

そう心に強く誓いました。

 

2017年を迎えてこれから自分がすべき事は人生を逆算して数え今自分がすべき事を明確にし、それを着実に実行して行かなくてはいけないという事です。

 

家族の今と将来、父として夫としての責任。

 

自分の理想とする歯科医師像。それに近づくための理想と現実。

 

色んな思いが交錯して新年を迎えました。

 

今年もきっと色んな事があるだろうな。

 

たとえそれが困難な事であっても しっかりと

 

それと向き合いたい そう思います。f:id:nankurux:20170104131023j:image

 

目指すもの

私が将来目指すもの。

それは歯科統合医療センターの設立。

 

コンセプト

1. 口腔は全身の健康とリンクしているという考えのもと、歯科の立場から全身疾患にアプローチする。頭痛や肩こり、目眩などの咬合関連症候群や医科では原因不明とされた疾患の症状の緩和や治癒を目指す。

 

2. 疾病予防と未病状態の発見

 

3. 正しい情報の発信と患者教育

 

アプローチの仕方

 

1. 心身にストレスを与えない治療

 

2. スプリント治療を主軸とした咬合治療と

東洋医学や温熱療法、整体、栄養療法などの自然療法や代替療法を組み合わせながら患者本人の持つ自然治癒力を高める治療を行い症状の改善を目指す。また、単に治療を行うだけでなく症状を繰り返さないための生活指導まで行う。

 

3. 職種や専門分野の垣根を取り払い、西洋医学、東洋医学、自然療法などそれぞれの専門家と連携をはかり患者さんの治療にあたる。

飲み込み( 嚥下) に関して

嚥下(飲み込み)に問題を抱えた患者さんの

 

食事介助やリハビリをして行く上で私達が最

 

も大切にしている事の1つが「よく観察す

 

る」という事です。診る=観察 診察する上で

 

最も基礎的な事が観察するという事です。

 

特に実際に患者さんが食事をされている様子

 

を注意深く観察する事がとても大切になり

 

ます。今回は私自身が誤嚥を問題に抱えて

 

いる患者さんの食事観察で大切にしている

 

ポイントについて書いてみたいと思います。

 

1. 覚醒状態と意思疎通の有無

2. 食欲の有無と嗜好

3. 椅子や車椅子等に座っている姿勢

4. 足の位置、安定性

5. 顔面、頸部の緊張の有無 可動域

6. 麻痺の有無

7. 視力、視野の範囲

8. 肩から指先にかけての動き

9. テーブルや椅子の高さ

10. 食器の種類

11. 食事の形態とメニュー

12. 食事の温度と味、色彩

13. 開閉口運動、開口量

14. 歯牙、義歯の有無

15. 唾液量、流涎の有無。

16. 口腔内外の乾燥感

17. 咀嚼運動の有無

18. 咀嚼側の確認

19. 舌の動き

20. 摂取する順番

21. むせ込みの有無

22. 呼吸音の聴診

23. 嚥下音の聴診

24. 一口量

25. 摂取ペース

26. トータルの摂取量

27. 食事開始から終了までの時間

28. 介助者の観察

等々

まだあげればたくさんありますが、

 

ざっとこれだけの事を中心に観察し、

 

記録に残し問題点の抽出を行い、

 

必要な嚥下リハビリのプランを作成

 

していきます。しっかりと観察する

 

事で、多くの発見があります。

 

高価な医療器具が無くても出来る範囲の

 

事をする。実際に今私が使用しているの

 

も聴診器ぐらいだと思います。

 

観察した情報や他の情報を他職種

 

の方々と共有し、それぞれ専門的な

 

立場から患者さんにアプローチを

 

して行く訳です。

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噛み合わせと飲み込みの関係について。

 

私の勤務する病院には内科の療養型病床

と老人施設があるため、頻繁に飲み込みに

問題を抱えた患者さんの診察依頼がきます。

また精神科の慢性期の患者さんも容態が

悪化し、むせ込みが酷いという事で

診察依頼が来ます。飲み込みを「嚥下」

といい、嚥下が上手くいかずむせる事を

「誤嚥」

と呼びます。誤嚥する事が原因で肺炎を

起こす事は頻繁にあり、肺炎は日本人の

三大死因の1つになっている事から

非常にリスクの高い疾患です。体の抵抗力

が強く、口腔内の衛生環境がきれいに保たれ

ていたら少々誤嚥をしても肺炎には

かかりません。肺炎にかかるのは

抵抗力の弱い高齢者や病気の方々です。

またやっとの思いで病気が回復し、ようやく

食事が摂れるようになった矢先にまた誤嚥を

起こし再び肺炎を発症、食事中止となるケー

スも非常に多いです。主治医や看護師さんが

悩み、どうやったら誤嚥を防げるのか、安全

に食事をスタートするためには何をすれば良

いか、どの様な食事形態が良いのか相談を

受けるわけです。それに対し私達が行う事は

口腔内の状態のチェック、実際に飲み込み

がどの様に行われているかの評価、

嚥下機能を高めるためのリハビリプランの

作成、リハビリの実施、患者さんの状態に

合わせた食事形態の指導、安全な食べ方の

指導などです。これらを医師、看護師を

はじめ理学療法士や栄養士、介護士の

方々とともにチームを組んで患者さんの

治療にあたります。その中で私自身が特に

注意をしてみているのが、口腔内の環境と

噛み合わせ、それに実際の食事の観察です。

特に無歯顎の方、奥歯の噛み合わせが無い方

には注意を払わなければいけません。

その理由として、私達は物を噛み砕き

飲み込みを行う時に上下の奥歯のを軽く

噛み合わせ、口を閉じ、舌を上顎に押し当て

陰圧を生じる事で食べ物を喉へ送るのです。

特に高齢になるほど上下の奥歯を軽く噛み合

わせる事で飲み込みのタイミングをはかる

傾向があるわけです。それが奥歯の噛み合わ

せがなければ下顎の安定がはかれず

嚥下に働く筋肉に影響が出て誤嚥が起こりや

すくなるわけです。そのため、奥歯の無い方

は出来るだけ義歯を入れて頂くように指導

しています。ただし義歯を入れればそれで

良いわけではなく、安定して奥歯でしっかり

噛める義歯をいれなければなりません。

適合の悪い義歯を入れては食事なんかする気

もしないですし、下手をすれば窒息のリスク

もあるので。嚥下に問題がある患者さんに

対しては一般的な義歯とは違う 少し特殊な

義歯(介護用義歯)を入れて食べて頂くように

しています。それである程度食事が出来る

ようであれば、出来るだけ形のある物を

噛む事を意識して食べて頂きます。

誤嚥や窒息のリスクから通常であれば

ゼリー食、ブレンダー食などの噛む必要の

無い物から食べて頂くのが通常ですが、

食事観察や嚥下評価などで問題無いと判断し

た場合は出来るだけ短いスパンで 形のある

物を食べて頂く方が 上手くいくケースが多い

からです。はじめは医師や看護師さんから

反対される事が多かったですが、最近では

理解を得る事ができています。

歯でしっかりと噛む事で唾液の出が良くなり

口腔内が潤い、噛む事が脳への刺激になり、

噛む事が衰えていた嚥下機能を賦活させ、

噛む事が消化器系の働きをサポートして

ひいては全身の代謝をあげる、免疫力も上げ

るからです。しっかりと噛む事。噛める

環境を整える事が体の健康をとりもどす

きっかけになるのです。

 

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