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てぃーちなー日記

沖縄とオーストラリアが大好きな歯医者の日記。健康ネタを中心に趣味の三線やエイサーなど のんびりと。

噛み合わせと飲み込みの関係について。

医療

 

私の勤務する病院には内科の療養型病床

と老人施設があるため、頻繁に飲み込みに

問題を抱えた患者さんの診察依頼がきます。

また精神科の慢性期の患者さんも容態が

悪化し、むせ込みが酷いという事で

診察依頼が来ます。飲み込みを「嚥下」

といい、嚥下が上手くいかずむせる事を

「誤嚥」

と呼びます。誤嚥する事が原因で肺炎を

起こす事は頻繁にあり、肺炎は日本人の

三大死因の1つになっている事から

非常にリスクの高い疾患です。体の抵抗力

が強く、口腔内の衛生環境がきれいに保たれ

ていたら少々誤嚥をしても肺炎には

かかりません。肺炎にかかるのは

抵抗力の弱い高齢者や病気の方々です。

またやっとの思いで病気が回復し、ようやく

食事が摂れるようになった矢先にまた誤嚥を

起こし再び肺炎を発症、食事中止となるケー

スも非常に多いです。主治医や看護師さんが

悩み、どうやったら誤嚥を防げるのか、安全

に食事をスタートするためには何をすれば良

いか、どの様な食事形態が良いのか相談を

受けるわけです。それに対し私達が行う事は

口腔内の状態のチェック、実際に飲み込み

がどの様に行われているかの評価、

嚥下機能を高めるためのリハビリプランの

作成、リハビリの実施、患者さんの状態に

合わせた食事形態の指導、安全な食べ方の

指導などです。これらを医師、看護師を

はじめ理学療法士や栄養士、介護士の

方々とともにチームを組んで患者さんの

治療にあたります。その中で私自身が特に

注意をしてみているのが、口腔内の環境と

噛み合わせ、それに実際の食事の観察です。

特に無歯顎の方、奥歯の噛み合わせが無い方

には注意を払わなければいけません。

その理由として、私達は物を噛み砕き

飲み込みを行う時に上下の奥歯のを軽く

噛み合わせ、口を閉じ、舌を上顎に押し当て

陰圧を生じる事で食べ物を喉へ送るのです。

特に高齢になるほど上下の奥歯を軽く噛み合

わせる事で飲み込みのタイミングをはかる

傾向があるわけです。それが奥歯の噛み合わ

せがなければ下顎の安定がはかれず

嚥下に働く筋肉に影響が出て誤嚥が起こりや

すくなるわけです。そのため、奥歯の無い方

は出来るだけ義歯を入れて頂くように指導

しています。ただし義歯を入れればそれで

良いわけではなく、安定して奥歯でしっかり

噛める義歯をいれなければなりません。

適合の悪い義歯を入れては食事なんかする気

もしないですし、下手をすれば窒息のリスク

もあるので。嚥下に問題がある患者さんに

対しては一般的な義歯とは違う 少し特殊な

義歯(介護用義歯)を入れて食べて頂くように

しています。それである程度食事が出来る

ようであれば、出来るだけ形のある物を

噛む事を意識して食べて頂きます。

誤嚥や窒息のリスクから通常であれば

ゼリー食、ブレンダー食などの噛む必要の

無い物から食べて頂くのが通常ですが、

食事観察や嚥下評価などで問題無いと判断し

た場合は出来るだけ短いスパンで 形のある

物を食べて頂く方が 上手くいくケースが多い

からです。はじめは医師や看護師さんから

反対される事が多かったですが、最近では

理解を得る事ができています。

歯でしっかりと噛む事で唾液の出が良くなり

口腔内が潤い、噛む事が脳への刺激になり、

噛む事が衰えていた嚥下機能を賦活させ、

噛む事が消化器系の働きをサポートして

ひいては全身の代謝をあげる、免疫力も上げ

るからです。しっかりと噛む事。噛める

環境を整える事が体の健康をとりもどす

きっかけになるのです。

 

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