噛み合わせと姿勢
歯医者のひとり言。^_^
近年噛み合わせが全身にどの様な影響を
及ぼすか様々な研究が行われてきました。
例えば私達の日々の臨床の中でも、施設に
入所中の高齢の患者さんが義歯を入れて
上下でしっかり噛み合わせ出来るように
してあげる事で転倒の回数が減った
等という事をよく経験します。多くの
歯科医や医師の方々も経験されている
事でしょう。しかしこれは今になって
分かった事ではありません。
私達が歯学部の学生の頃にも同じ話を聞いた
事があります。
けど正直な所、当時はその理由について深く
考えた事は無かったです。また今患者さん
から質問されてその理由を明確に答える
事が出来る歯科医や医師はどの
程度いるかも疑問です。もしかしたら疑問
にすら思わない歯科医、医師もいるかも
知れません。(^^;;
高齢の方の転倒が減った理由はこうです。
咬合(噛み合わせ、噛み締め)は足関節
に関わるヒラメ筋(関節の伸展)の
拮抗筋である前脛骨筋にも反射を促進
する効果があります。噛み締めにより
相反性Ia 抑制が減弱される事を意味し、
これにより筋肉の共縮が起こりやすく
なる。つまり簡単に言えば、
「噛み合わせる事により関節が固定され、
姿勢の維持に役立つ」という事なのです。
私達の日常の動作を思い返してみて下さい。
衝撃に耐える時、重い物を持ち上げる時、
つまづいてこけそうになり、足を踏ん張った
時、私達は当たり前のように歯を食いしばる
、噛み締めているのです。
良書。オススメです。^ ^