医学不要論⁇
最近SNSの書き込みや、私自身の知り合いの中にも「医学不要論」を唱える人がいる。
人の生命を守り、健康の維持増進に寄与する
はずの西洋医学が、結果的に人々を不健康にしている。場合によっては人の寿命を縮めているという事のようだ。
西洋医学を学び、それを実践している私達にとってはshockingな事でもある。
けど、私自身は至って冷静にそれを見ている。
幸いにも私は大学の歯学部に入る前は四年生の
一般学部で学んでいた。
また留学を通して医師や歯科医師などの医療従事者のみならず、セラピストや漢方医、その他
色んな職種の方々と交流を深めるチャンスにも恵まれた。
留学により、私自身の医学、歯科医学に対する考え方が変わったのもまた事実なのだ。
人々の健康に関わる仕事に就いている人達は
皆それぞれの考え方、信念に基づいて仕事をされている。
職種に関わらず皆に共通して言える事は、辛く苦しい思いをしている人々を少しでも楽にしてあげたい。癒してあげたいという優しさ、愛情でないだろうか。
残念な事に良かれと思ってやった事が実は逆の結果になってしまった…
そういう経験をした人はたくさんいるはず。
私は西洋医学も東洋医学も自然療法も否定はしない。それぞれの良い所を取り入れた考え方に基づいて日々診療に当たっている。
大切なのはある1つの考え方だけに偏らない事。固執しない事。視野を広くし常に柔軟に考える事ではないだろうか。
もう一つ言える事
どのような病気や不快な症状でも、実際にそれを体験した人にしかその辛さは分からないのである。
強い偏頭痛で一日中吐いている人の辛さ、癌で耐え難い苦痛と命の期限を突き付けられた人のつらさ。それを見守る家族の辛さ。
酷いアトピーで身体中を掻きむしり、全身血だらけで朝を迎える患者さんの辛さ。
患者さんの心身の辛さは体験した者にしか分からないのだ。
そういう患者さんにとって、西洋医学は大きな貢献をしているのは間違いない。即効性、ADLの改善、様々な面で患者さんを助けている。それを個人的なエゴで否定するのは如何なものだろうか。
西洋医学は急性症状や救命で、東洋医学は未病、慢性疾患に、自然療法は予防の面で。
それぞれに大きな役割を果たすのだ。
医療に携わる人間にとって、何よりも大切な事
それは正しい情報を患者さんに提供すること。
自らの診断、治療法に責任を持つ事、患者さんに寄り添う心を持ち続ける事。ではないだろうか。
理想としてはそれぞれの垣根を外し、あらゆる分野の治療家が協力し合う事だと思う。